蜜愛

あの女が海に消えたとき。

セイタの腕の中には、セイタくんがいた。

私は

しっかりと蜜柑の顔を私の胸に押し付けて見えないように抱きしめていた。


それは、とても子供になんて見せられない光景だった。


――もつれて、絡み合い、互いに互いを海底に引きずり込むようにして

何度も頭より高い波を受け

それでも

何度も何度も揺らされながら

  浮かんで

沈んで

     浮かんで

沈んで


波間に現れる二人。


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