蜜愛
オレは、この後に続く言葉を想像するような余裕もなく、黙り込んだ。


『あなたは。本当にセイタの父親なんですね。……本当は、初めて会った日から気づいていました。嘘じゃないって。だってあなた』


――ソックリ、だもの。



そう言えずに、母親は言葉を濁した。


『DNA鑑定とかしたら、一番いいのはわかってます。だけど、もし。あなたが本当に父として。セイタと向き合ってくれるなら』

そこまで話して彼女は目頭をこすった。

『私は、協力しますから、ずっと私の孫でもありますから、あなたも真剣にあの子にとって一番いい家庭環境を考えてあげてくれませんか』

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