蜜愛
『か、か、母さん…この相手は……』

オレはあまりの衝撃に、どう聞いていいかわからずただ混乱した。

ーーそして。嫉妬した。


それは確かに、オレがしたようなものと全く別の行為に見える。

母さんも別人だったし、何より。

このベッドで何かが生まれている錯覚まで感じた。


『あのね、せいちゃん。一度しか言わない。一生で一度』

この言葉だけでオレは、ぐっと母さんが遠くに感じた。


『母さんが本当に好きで、愛していて、家族すらも捨ててこの人を選ぼうか迷うほど好きで、でも相手の人はある日急にいなくなって、母さんは』


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