蜜愛
僕は混乱していたのだろう。

その、筆圧の強い文が続く中に時々

掠れそうな『絶対』の文字。

こんなに悲しい『絶対』を僕は、みたことがなかった。

父さんに、この『絶対』を書いた気持ちはあったのだろうか、母さんに対して。

僕が、海に沈みゆく母さんを追いかけようとしたとき、父さんの手は冷たく

その力は強く、

僕に対しての『絶対』という思いを感じることはままあった。

『絶対引き取りたい』

『絶対育てたい』

『絶対教えたい』


父さんの僕に対する思い入れは、




一体どこから……

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