蜜愛
私はまた、自分の中に潜む、獣のような本能を感じた。


ーー穴があるなら、
   埋めなくちゃ

ーー穴があるから、
   埋めるんだわ


蜜柑が高校生になっても、私は自分をオバサンだなんて思ってなかった。

思いたくなかった。


匡哉のように、男であることにピリオドをうちたくない。

私は、一瞬も一生も女でいたいんだから。

だから。だから。


匡哉、だったのに……


彼のことを愛していないわけではなかったけど、思い通りにならない憤りは感じていた。

何が不満なのよ、いい人なのに……

私のこと、家族のことちゃんと愛してるじゃない……


どれだけ言い聞かせても。


止まらなかった。






ーー孤独感が加速する。



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