蜜愛
あと、少しだった。

もう手を伸ばせば、はためくそのセーラー服の襟に

肩に


手が届いたかもしれなかったのに。

いや、これも錯覚なのか。

もっと遠かったのか。


俺にはもう思い出せない。


ふわりと蜜柑が空に舞い上がり、スカートが壊れた傘みたいにひっくり返ったら

俺は真っ白なそのケツに見とれた。

バイクが通り過ぎて行くのも

蜜柑が俺に何度も弄ばれたケツを晒したのも

全部一瞬。


道路に真っ白な太ももを見せびらかして転がる蜜柑に、駆け寄る俺を制止する誰かの手を振り払い、俺は叫んだ。







『妹なんです!!誰か救急車を誰か早く!!!!』

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