蜜愛
断片的にはあるようだが、彼女はそれを全て思い出すことを拒むように、
新しい記憶でいらない記憶を洗い流していく。
真っ白なベッドに横たわり、真っ白な顔で俺の方を見たとき。
一瞬、天使かと思った。
俺はそんなファンタジーなやつでもないけど、
目が覚めてそれからの人生をまた生まれ直した彼女に。
俺は自己紹介をするしか、なかった。
『蜜柑。兄さんだよ、だいすけっていうからね』
『お兄ちゃん、……が、いるのね、私。宜しくお願いします。思い出せなくてごめんなさい、お兄ちゃん』
俺は、蜜柑の目が見えないことをいいことに、顔をぐしゃぐしゃにして泣いた。
新しい記憶でいらない記憶を洗い流していく。
真っ白なベッドに横たわり、真っ白な顔で俺の方を見たとき。
一瞬、天使かと思った。
俺はそんなファンタジーなやつでもないけど、
目が覚めてそれからの人生をまた生まれ直した彼女に。
俺は自己紹介をするしか、なかった。
『蜜柑。兄さんだよ、だいすけっていうからね』
『お兄ちゃん、……が、いるのね、私。宜しくお願いします。思い出せなくてごめんなさい、お兄ちゃん』
俺は、蜜柑の目が見えないことをいいことに、顔をぐしゃぐしゃにして泣いた。