蜜愛
晴汰に手を引かれているようで、導いてきたのは私だった。

『うち、父さんがいなくて……母さんも夜仕事してて遅かったり帰ってこなかったりするから、サミシクテ』

そう言って玄関で甘く駄々をこねた。

晴汰があたふたしているのは、ハッキリと指先からも伝わってきて

私は、





ーー私を、思い出した。


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