蜜愛
『家出。したんだよね?泊まるところ、ある?』

『あ、あ、あの……まあ、はい…あると言えば、いや…ない、かな…ははは』

『今日、母さん帰ってこないの。ひどいよね、私、目が見えないのに』


だから。


そう言って私は晴汰の手を離し、腕につかまった。

『ちょっとでも、いい。あがっていきませんか?お茶くらいなら』

『そんなの、ぼ、僕が入れます!はい!』


晴汰はよろめきながら、スニーカーを脱いだ。

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