蜜愛
身勝手で我が儘で

そして寂しがり屋の私に、結婚生活はできない。


平凡を幸せと感じられないお前に、俺がしてきた苦労や悲しみがわかるか。


匡哉にそう怒鳴られたときに、私は悟った。


誰といても

どのようにしても

結局、幸せは私の心の中だった。


私が決めなくちゃ、誰にも与えてもらえるわけじゃ、なかったのに。


もう私には、蜜柑しかいない。

蜜柑の幸せを願うことが、今となっては私に残された最後の幸せ。


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