蜜愛
結局彼は目を開けてきちんと話そうとしないので、私はそのまま身支度を整えて部屋を後にするしかなかった。
−−彼の事、嫌いなわけじゃなかった。
正直だんだん、好きになってる気もして怖かった。
だけど、いつも。
最後に思うのは、旦那だった。
旦那の事を裏切っている罪悪感では、ない。
むしろ、こうするコトで、最後の最後に突き付けられる真実。
それが、旦那を愛してるという事だけだった。
あの人を喜ばせたい。
もう、私のカラダ、彼に与えられる快感では無理。
だったら、私が彼に愛情を示せる最後の方法は、
……妊娠するしか、ない。
私と、旦那で無理なら。
私は、人口受精や体外受精なんてできる費用より。
同じ『オトコ』の精子に、望みをかけるしか、なかった。