蜜愛

先ほどまでは一定のリズムでまな板を叩いていた包丁も

オレがいなくなったからか

ピタリと止んだ。


ーー聞き耳を立てている。


そんな気がしてオレは、携帯の電源を切り部屋に戻った。


水を流す音に混じってまた、まな板の上で刻まれる時間が進み始めた。


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