「「キミが…」」 (渓也&麻弥)
坂井 麻弥
「「「「「ありがとうございました!!!!」」」」」
部活が終わったのは夕方。
西の方角を見ればオレンジ色の太陽が眩しい。
渓也はまだ部活してるんだろうなぁ…。
今日も渓也にメールを送った。
もぅ9割返って来ない。
でもまだ付き合っている。
理由なんて、あたしが渓也を好きでいるだけで成り立つ。
“もちろん”
なんて言葉が当てはまるように昨日もメールは返ってこなかった。
毎日ため息ばかり積もるばかり。
もぅ少しで試合があるからいつもより練習時間が長くて、空は群青色をしていた。
「今日は時間が遅いから男子、送ってやって」
顧問の先生に言われて男子は返事をする。
こぅゆぅときに共学は頼もしいと思った。
1人では絶対に帰れない。
いつもより暗い校門を通った。
人がいたけど、まぁ知らない人だろう。
そぅ思って視線を逸らした。
「麻弥」
「…え?」
確かにあたしの名前を呼んだ。
その人は立ち上がってあたしに近づいた。
「………渓…也…」
嘘だ。
これは嘘。
ストレスが溜まってこんな物を見てしまっているんだ。
渓也は今午後の練習中。
ここにはいない。
「麻弥」
もぅ1回呼ばれて、あぁ本当に渓也なんだって思った。
目の前の渓也が歪む。
見たいのに見れないよ。
あたしは…今本当に幸せだ。
あたしは大きなキャディーを持った渓也に飛びついた。