COLORS【緑】c:lover
街灯がまばらに燈る校門までの道程。

誰か居るの……?

微かに見える人のシルエット。


「遅いぞ!」

えっ?!
その人影に声をかけられてハッとする。

「蒼波!?」

──先に帰ったんじゃ。
やっと誰なのかが把握できた時……頭の中がパニックになって、『どうして』って気持ちの方が大きくなっていた。

「お前にこれを渡そうって思ってな」

……紙?

「これは……」

彼から渡された二つ折りの紙の中には『四つ葉のクローバー』が挟んであった。

「教室で渡せなかったから……流石にみんなの見てる前ではな。それにそれ見つけるの大変でさ~よくお前見つけたよな」

「……もしかしてこれを渡すために待っててくれたの?」

「一緒に帰るって言う口実を作って、こっそり渡そうって思ったんだけど」

「……私」
ヒドイ事言って……。

「あの時お前が見つけたものじゃないかもしれないけど……許してくれよな。それと……ごめん」

「?」

「ロマンチストだのやめた方がいいだの言って。自分で見つけてみて分かったよ。『四つ葉のクローバー』……迷信じゃなくて、本当に幸福をもたらすのかもって。それを信じている人は少ないかもしれないけれど、信じているからこそ『幸福』になれるんじゃないかってな」

「……じゃあ、今度は蒼波が幸福になる番だね。これは――私じゃなくてあんたが見つけたものだから……はい」
彼の元へもう一度返す。
これは……私じゃなくて蒼波に必要なものだから。

「世海……?」

彼はきょとんとしながらも私が歩き始めると一緒に足を前へ一歩出した。
『本音の言える誰か』……か。

引き受けてあげてもいいかなって、

そう思っている自分が居た。
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