COLORS【緑】c:lover
「世海!世海!世海ってば!」

「あ……っ、ごめん」

「次、あんたの番だよ」

「……うん」

「も~っ!!さっきかららしくない!今日は練習試合かもしれないけど、この北陽台を倒さなきゃ全国大会に行けないんだからね!」

「分かってるって」

「本当に?」

「要するに勝てばいいんでしょ」
体育館はバトミントンのコートで埋めつくされ、その十二面あるコートでそれぞれシングルスの試合が行われている。出番待ちの梨子と私は、入口付近で壁に寄り掛かり待機していた。

「そりゃそうだけど……」

「応援よろしく~」

「ったく……負けたら承知しないんだから」

分かってる、分かっているわよ……。
勝たなきゃいけないことくらい。


誰でもない、自分のことを一番よく知っているのは私自身なんだから。


コートにゆっくりと入る。
真ん中より少し後ろのいつもの定位置。

相手が誰だって関係ない。
私は私の仕事をするだけ!!


『試合、頑張れよ』


蒼波……。

私は手に握ったグリップを力強く握りしめていた。
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