COLORS【緑】c:lover
「今日はありがとう」

「いや……お礼を言わなきゃいけないのは俺の方。久しぶりに野球もできたしな……ありがとう」

彼の『ありがとう』が心に響く。
最初はあんなにむかついて、腹を立てていたのに。
今ではこんなに距離が近い。

手を伸ばしたら届きそうなくらいに。
もしかしたら……、

もっと……。

近いのかも――しれない。


「……蒼波」


「懐かしいな……」

帰宅途中、一緒に歩く河原。
そして……あの場所。

私と蒼波が初めて会った――。


四つ葉のクローバーは幸福をもたらす……か。


まだその『幸福』は訪れていないかもしれない。
けれど、蒼波と出会えたことは少なくとも『幸福』であってほしい。

私はまだ彼の本音を聞ける存在にはなれていないかもしれない。
でも……近いうちきっと、そうなれることを信じて……。

「帰ろう」

「ああ……」

二人の時間はまだ動き始めたばかり――。



END
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