COLORS【緑】c:lover
「失礼します」

職員室は一時間目がもうすぐ始まるとあってか慌ただしさを催しながらも、室内は閑散としていた。

「立花~こっちだ!」

戸坂先生の定位置で呼ばれる。

「悪いな、一時間始まるってのに……」

「いえ」

「でもまぁ、一時間目の授業は俺の担当だからな、少しだけ時間をくれ」

「……はい」

何だろ、怒られるようなこととかしてないよね。
自分に問いただしてみる。

「実は、城積のことなんだが……少しの間、お前面倒みてくれないか」

「?」
なっなんですって~!

「あいつが何故ウチに来たか知ってるだろ」

「それなりには……でもどうして私なんですか!?」

「今のあいつには頼れる誰かが必要なんじゃないかなって思ってな、親とか友達じゃなくて……本音を分かってくれる誰かが」

「……無理です、私には」

「俺の目が確かなら、このクラスでそれができるのはお前しかいない……少なくともそう感じている」

「……先生」

「と言うわけで頼む!……話は以上だ」



これも……『不幸』の一つなのだろうか。

偶然の出会い、再会、そして──。

『本音を分かってくれる誰か』……か。

私の中で、あいつに関わりたくないという気持ちと、先生の頼みを断れなかった現実が複雑に交差していた。
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