カナリア
『遅くなってゴメンね!コイツがヘマしてさ〜!』
たまきの正面に座った男性が後方に続いた男性を指差して言った。
『ヘマしたのはお前だろ!』
顔をしかめながら、その男性は加奈子の正面に座った。
『あ、はじめまして。加奈子さん。坂本です!お話は、たまきちゃんから聞いてます!歯科医師なんだってね。カッコいいね!』
坂本は笑顔で加奈子を見た。
『あれ?歯科医師?』
『あ、コイツ横溝健太郎。会社の同期でプライベートでも仲良いんだ!』
『やっぱり!先週行った歯医者の先生ですよね?』
加奈子はハッと気がつき、頷いた。
『はい。そうです。偶然ですね。』
加奈子と健太郎はお互い笑い合った。
『え〜!凄い偶然だね!まさか加奈子の歯科医院に横溝さんが患者さんで行ってたとか!!』
たまきが興奮気味に言った。
『ま、これも何かの縁って事だな!とりあえず、飲み物どーする?』
坂本の言葉で皆、飲み物を決めて数品の料理を注文した。
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『あそこの歯科医院って、日曜日も診療してるから助かったんだよね。』
健太郎が何杯目かの焼酎グラスを傾けながら加奈子に話掛けた。
『ええ。うちの医院はいちお、お正月とお盆休み意外は年中無休なんですよ。』
『でも働く方は大変じゃない?休みあるの?』
『基本、日曜日が休みで非常勤務で隔週日曜日は待機日になってるんですよ。』
『そうなんだ。じゃぁ、日曜日とかデートに誘っても良さそう?』
『はい。…って、えっ?!』
驚く加奈子に健太郎は笑顔を向けた。
『お前、さっそくデートのお誘いかよ〜!加奈子さん、嫌だったら遠慮なく断ってね!!』
坂本がすかさず突っ込んだ。
『あ…はい。良さそうですよ。』
笑いながら加奈子が答えると健太郎もまた笑顔になった。