カナリア


飲みも話も盛り上がった頃、たまきも坂本もかなり出来上がっていて次の店にも行くに行けないと結論づけた加奈子達は支払いを済ませ外に出た。

『たまきさん大丈夫?』

『大丈夫。大丈夫。今日は私の部屋で寝かせるし。坂本さんこそ………』

加奈子が横目で坂本も確認するとたまきと話をしていた。


『あ、じゃぁ明日歯、抜きに行くんで!』

健太郎が手を挙げた。


『あ!そうだっ!お酒なんか飲んでっ!!また歯茎が腫れちゃいますよ!忘れてた〜!』

加奈子が健太郎の手を掴んで言った。


『え?ダメだった?』

笑いながら健太郎は右頬をさすった。


『化膿しちゃったりするんですよね。まぁ、明日またレントゲン撮ってみてから決めますよ。』

健太郎を掴んだ手を離し、加奈子は唇を尖らせて言った。

『明日、加奈子さんが診察してくれるの?』


『本当は休みですけど、何かの縁で知り合えたんですから、私が診ますよ。』

たまきがフラフラになって加奈子に抱きついてきたので、少し顔をしかめながら答えた。

『あ、じゃぁその後、どこか行かない?』


健太郎が人差し指を立てた。


『良いですよ。でも、………』


『約束な!じゃぁ、明日!予約は10時だから!』

健太郎は坂本に肩を貸すと駅へと向かって歩きだした。


加奈子は言い掛けた言葉を飲み込み、たまきの手を引き自宅マンションへと向かった。






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