カナリア
『そういう訳じゃねえけど、こないだ横溝と加奈子さんと4人で飲んだ日にさ〜。』
『?何だよ。』
『たまきちゃんは可愛い!でも加奈子さんみたいにシッカリした人もいる。お前ならどっちと居て安心する?』
『俺は加奈子さんがタイプでど真ん中ヒットだったから。』
『だよな〜。たまきちゃんは可愛くて少し子供っぽいし…嫌いじゃないタイプだけどさ〜。やっぱ俺焦ってんのか?』
坂本は健太郎に顔を向けて真剣な面持ちで話掛けた。
『たまきちゃんとの事は別に好きじゃなかったら、無理に考えなくて良いんじゃね?お前、酔うと誰でも可愛くて見えちゃうって言ってたし。お友達でも良いと思う。』
健太郎はまたビールを一口仰ぎ、空になった缶を手で潰した。
『お〜。でも、たまきちゃんから毎日連絡来るしな…あんま返せてないけど。』
『成るようになるだろ。』
『横溝って案外淡白だな。』
『どういう意味だ?』
『そのまま。成り行き任せ。』
『…そうか?』
『そう!でも今回、加奈子さんと会ってから積極的だよな〜。』
『当たり前だっ!逃したら次いつ、あんな良い女と出会えるっつーんだよ?!』
『そうだよな〜。横溝は良いクジ引いたよ。』
笑ながらビールを飲み干した坂本は、また冷蔵庫から缶ビールを取り出して一本健太郎に渡した。