カナリア


うらやましく思う反面、今の生活に何も不満はないのは確かだった。

『恋をしたい!』──と思うのも寂しいからではなく、恋をして好きな男性と楽しく過ごす時間も悪くはないと思うからだ。


加奈子は今まで付き合ってきた男性の事を頭に浮かべた。

『初めて付き合ったのは、高1の頃だったかな──』

高校入学当初、クラスメイトの男子から告白され、まだ自分の気持ちも固まらないまま付き合ってみたけどキスをするのが嫌で別れたのだった。


『浅はかだったな〜(笑)』
加奈子は天井を仰ぎながら笑った。


『次の人は────』

高校を卒業する間際にバイト先で知り合った大学2年生の人。
趣味も合い、お互い休みの日は出掛けたりと、とても楽しかった思い出もある。
しかし、加奈子が大学に進学し彼との確執の差に敬われるのに嫌気がさし別れた。

『嫌みっぽい男はダメよね〜』

加奈子はうつ伏せになり、机の上に放った携帯を手にして一つのアドレスを見つめた。

『次の人は─────』

"高木誠"
3つ上の加奈子の在学していた大学の先輩だった。
大学1年の秋頃、加奈子から想いを告げ、付き合いが始まったのだった。





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