星の都〜番外編〜
「何でキスなの?」


ラリアは恐る恐る霊に訊ねた。


「あのね、長くなるけどいいかしら?」

「う、うん。」

「私ね、ずっと昔にねここで働くメイドだったの。私には付き合っていた彼がいて毎晩ここで会ってたの。」

「彼の方もここで働く人だったの?」

「えぇ、そうよ。だから日中はお互い忙しかったから夜しか会えなかったのよ。」

「そうなの…。」


ラリアは興味津々に霊の話を聞いている。


「で、毎晩キスは当たり前でいつも彼に会うのが楽しみだったのー!」

「うわー羨ましー!」


2人は盛り上がる。


…もう帰っていいですか?


「でもある日…。」


霊の声のトーンが落ちた。


「私、死んじゃったの。」

「え?」

「馬車で跳ねられちゃって…。」

「そんな…。」


ラリアの声のトーンも落ちた。


「気づいたらここにいたの。毎晩泣いたわ。もう彼とキスできないって…。きっとそれが忘れられなくて成仏できないんだわ!」


…結局キス?


「うぅっ…辛かったね…。」


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