world end

三涙

しばらく洞窟を歩いていると遠くに光が見えた。
私は一目散に、そちらに向かった。

洞窟の中の開けた場所に彼女はいた。
「待っていたわ、聖王国トドィス主兵長フォルセス・ドリアード」
「サツキか…」
彼女は不敵笑みを浮かべた。

間合いは彼女まで10メートル程度。
少し遠いが、確実に仕留められる。
「テスランドはお前が…」
「そうよ」
「何故」
「貴女にここに来てもらうためよ。貴女にはここで死んで貰うわ」
瞬間、サツキが呪印を展開する。
魔力が辺りの空間に振動を与える。
サツキの前に描かれた黄金の呪印が光る。
…雷魔法。
私は瞬時に判断し、左に跳ぶ。
「トライデント・ジャム!」
今まで私が居たところに雷が走る。
私は槍を構える。
「普通の人間なら、間合い、遠すぎるけど…貴女、黒い死神だもんね」
そういってまた不敵に笑う。
サツキまでの距離は変わらず10メートル前後。
だが、この程度では私の間合いの内だ。
一振りで千人薙ぎ殺す私の槍。
私の魔力を吸いとり、薄暗い洞窟の中で、紅く光る。
「お前を生け捕りにするのは難しそうだからな…殺しにいかせてもらうぞ」
槍がヴヴンと哭いた。
と、同時に突く。
紅い閃光がサツキを貫いた。
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