world end
城には気品な匂いが充満していた。
まるで外から来た私をあざ笑うかのようなそれが不快だ。
城に出入りするようになって七年も経つが、未だに慣れない。
「おかえりなさい」
正面から来た男が言う。
「ええ、ただいま」
「遠征はどうでした?」
「敵兵が三千人ほどいたが、ほぼ漏れなく殺しか捕まえるかをした」
「流石です、主兵長殿」
「腕が買われて主兵長となったのだ。その位はやっておくさ」
「でも、主兵長がいる限り、この国は負けないんじゃないですかね」
気軽に言う部下。
「で、ペイン、お前はもっと私に殺せと言うのか」
そう言った瞬間、ペインの顔がしまった、と言った。
「いや、そういう訳では…」
取り繕うように言う。
私はペインの横を通り過ぎ、王室へと足を進めた。
「あ」
ペインの後悔の呟きが耳に届いた。
< 4 / 27 >

この作品をシェア

pagetop