ケータイ
白い車…。ナンバーは…。

待ち合わせ場所には高そうな車が止まっていた。

恐る恐る近づく。

ちょっと運転席の窓が空いた。

「ナナちゃん?」

思っていたよりおじさん、だ。
いかにも金持ちそうな仕立ての良さげなスーツが全く似合ってない。髪は辛うじてあるけど、やっぱりサイトで会うなんてこの程度、と思うレベル。

「…はい」
しょうがなく返事。

おじさんは嬉しそうに「早く乗って!」
と手招き。

覚悟を決めて乗り込む。

…私はレナじゃない、ナナなんだ。
自分にいい聞かせた。
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