ケータイ

「…今は学校も行ってない。部屋に閉じ籠ってばかりで。マジ今日、来てく服もなくて。太ったし、ヤバいよね、私。レイジに会っ」
いきなり口をレイジの手がふさいだ。


「…いいから。無理しなくて。しゃべってないと落ち着かない?」

レナは思わず泣きそうになった。

けど、泣かない。レイジに弱いと思われるのは嫌だ。


「俺はレナ…でいいんだよね?ナナじゃなくて」

レナはうなずく。

「レナのしたいようにすればいいと思うし、ま、ここまで話聞いたら協力するよ」

レイジは少し笑って言った。

「暇つぶし、かな」


レナはそれで充分だった。彼氏でもない、友達でもない、味方が出来たから。
< 42 / 93 >

この作品をシェア

pagetop