ケータイ

作戦

レナは毎日レイジに会った。

後から知ったが、レイジはかなり頭のいい大学の学生で、親は地位のある方みたいだった。
一人息子故に、かなり期待されて育てられ、なんでもできる子供だったそうだ。

親は愛情よりも体裁を気にして、育てたようで常々冷めた子供だと大人に言われて育ってきた。

女に苦労は全然しないが、レイジの外見や背景につられるばかりの女で、一度も真剣に付き合ってはいないと言った。


毎日いるのに、それしか聞き出せない。

レイジはその頭脳を使って「おじさん」への復讐を考えるのに夢中だった。


「レナ、お前は何処までしたい？」

「何処まで…って」

「だからさ、どの程度のダメージかって事」
「…苦しめばいいよ」
「…殺す？」
レイジは意地悪そうに言う。

レイジが言うと冗談にならない。

「…そこまでは、いい」

「わかった。じゃお前と同じようにジワジワと苦しめるよ」


「どうやって？」

「…ま、いいじゃん。逐一報告するよ。レナの協力も必要だしね」

レナはレイジが何をするか全く読めない。

「おじさん、に関して何かない？」

「…ないよ。アドもメールも全部おじさん、自分で消したから」

「名前は？」

「知らない。おじさんとだけ」