ケータイ


「俺の前にもだったんでしょ?大変だったね」

「うん、常連なんだけど、ちょっと変わってるんだよね~」

「ま、こういう所で何もしないお兄さんも変わってるけど」

女はケラケラと笑う。
「へー、変わってるってどんな?俺、こういう経験ないから、知りたいんだよね」


女はちょっと考え、

「あんまりお客様の話は出来ないけど、別に名前も見たこともないしね、ま、いっか」

勿論名前も見たことあるのも内緒だ。

「なんだか女性を自分の思うようにしたいみたい。言うならペットみたいというか」

「ペット?」

「うん。実際プレーすると結構ハードだよ。精神的に痛めつけたいみたいね」

「前にちらっと本物のペット女がいるって言ってたな。女子高生だって」


レナだ。

「今も女子高生の愛人いるんだって。でも全然、普通にしてるみたい。その子にはかなりのぼせてるみたいね」
「他の人の話もあるよ。例えば」

「いやいや。充分だよ、ありがとう。俺には無理かな~」

「その常連がいってたけど、なんでも言うこときかせるって、凄い快楽みたいよ。相手も段々弱って、病院送りにしてやったって自慢してたっけ」


女の話に段々と小柳という男がわかってきた。独占者、自己中心、サディスト。


弱点は…あの愛人。アキだ。


「ありがとう。ちょっと疲れて来ちゃった。また呼ぶから今日はいいかな?」

女は悪いよ、何かしないと、といいながら、嬉しそうに、また絶対呼んでね!とホテルを後にした。
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