-雪女郎- 千寿
「貴方様のようなお方にとって、わっちは名乗るほどのものでもございませんが・・・後学のため。」








雪洞は、ニッコリとほほ笑んだ。








「美楼閣呼び出し花魁。並んで、売上第一位。雪洞でございます。」









「雪洞?」








「ええ。あの雪洞でございます。美しいでしょう。」








ふふっと笑った。








そして、呆然と立ち尽くす男を残して、雪洞は、椿の間へむかった。








この出逢いがすべてを狂わすとも知らず。








そう・・・







これが初めての出会いだった。








雪洞と安原信一の。
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