-雪女郎- 千寿
「わっちは・・・この世の誰よりも勝ち続けていたい。」









「この吉原で・・・」









雪洞は、そう言って安原に背を向けた。









そして、出ていく。









その背中に、安原は呼びかけた。








「私の負け、ということか。」









「ええ。その通りでありんす。」








背を向けたまま答えた。








「誰もが客にしたがる、この私が負けたということか。一遊女の手のひらで踊らされた。」









「一遊女ではありんせん。」










「吉原の伝説花魁雪洞でありんす。」
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