-雪女郎- 千寿
第二十夜
「織閖が、身請けされることになったんだ。」
女将と向かって座る雪洞は、微動にださなかった。
女将の隣で俯く織閖を、静かに見ていた。
「何故、その事をわっちに告げるんでしょう?」
女将は、苦笑した。
「聡いお前のことだ。分かっているんだろう?」
「ふふふ。桃の事でありんすか?先日、松を引き取るとお話になったと思いんす。」
「ああ。遊女に禿は一人で十分だ。花魁ともなれば、必要かどうかも分からない。」
女将は、織閖に目をやった。
「織閖の望みだ。桃を、雪洞に預かってもらいたいそうだ。」
女将と向かって座る雪洞は、微動にださなかった。
女将の隣で俯く織閖を、静かに見ていた。
「何故、その事をわっちに告げるんでしょう?」
女将は、苦笑した。
「聡いお前のことだ。分かっているんだろう?」
「ふふふ。桃の事でありんすか?先日、松を引き取るとお話になったと思いんす。」
「ああ。遊女に禿は一人で十分だ。花魁ともなれば、必要かどうかも分からない。」
女将は、織閖に目をやった。
「織閖の望みだ。桃を、雪洞に預かってもらいたいそうだ。」