-雪女郎- 千寿
「織閖。」








女将の言葉には、何も返さず、織閖を見据えた。








「桃の先が不安なお前にとっての望みなんだろ?だった、何で自分で言わないんだ?」









織閖は、静かに顔を上げた。








「雪洞と比べると、わっちは汚い。」









「これ程までに誇りを持ち続ける遊女を、小さい頃から見てきた。わっちは・・・情けない。」










織閖が呟くように言った。









「仕方ないでありんしょう。」










「桃をお引き取りいたんす。」
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