-雪女郎- 千寿
「最後にひとつ伝えたかったんだ。」









ふわりと髪が靡く。








「ありがとう、と・・・」








「風鈴は、雪洞に出会えて幸せだった、と。」










女将は、そう言うと何処かへ去っていった。









『雪月。いや、今は雪洞なのね。・・・ありがとう。』










そう、微笑んだような気がした。








「風鈴・・・・・姐さ、ん?」










幼い声で、空を見上げた。
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