恋愛ジュース
第1章 最悪な出会い
「1年生になったーら♪友達100人でっきるかな♪」
あたし、七瀬希未(ナナセノゾミ)。
今日から高校生活がスタートする。
中学のようなダサい制服とは違う、新しいデザインの可愛い制服に身を包み…やたらテンションが高いあたし。
「ふふっ新鮮っ♪」
鏡の前で自惚れるあたしを見ていたお兄ちゃんは、やれやれと言わんばかりにため息をつく。
「お前キモいから」
兄・七瀬祐太(ナナセユウタ)は大学2年生。
あたしよりも頭が良いのがムカつく。
「うるさいっ!お兄ちゃんだってこんな感じだったじゃん」
「バーカ、そんな事誰もしねえよ。俺もう行くわ」
お兄ちゃんは、あたしに目を合わせる事もなく、玄関へ向かってしまった。
まったく。
お兄ちゃんは最近彼女が出来て、その彼女にシスコンと間違えられたくないという理由であまり口を聞いてくれなくなった…。
「お兄ちゃんの方がバカじゃん♪〜♪〜」
高校生になったら、メイクしたいって思ってたんだよね。
慣れない手付きで、ビューラーをして、その上にマスカラを塗る。
「あ」
まぶたにマスカラの跡がついちゃった。
ティッシュで取ると、その周りのマスカラまで拭き取ってしまう。
まぶたは黒ずんだまま。
「これじゃあパンダだよ……」