愛すべき君へ

すれ違い.



「ねえ、叶?」

隣にいた莢花が
僕の名前を呼んだ。

「ん?」
「私ね、愁悟くんに
ストーカーされてる
みたいなんだ...」

深刻そうに打ち明ける
莢花はとても
残酷だった。

「まじ...?」
「うん」

僕はどうすることも
できなかった。

今日仲良くなれた友達―
昔から好きだった彼女―

どっちを取るにしても
どちらかを失わなければ
ならない事実に僕は
ただひたすら考えていた。

「叶と私が付き合ってる
って言ったら...
どうなっちゃうのかな?」

莢花は僕の顔を
見つめて言った。

その言葉は
棘があるかのように
僕の心に突き刺さるものだった。

「悲しむ...だろうね」

僕はうつむきながらそう言った。


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