愛すべき君へ
気がついた時には、
莢花は僕の腕の中で寝ていた。
「やべ..今何時...?」
そう言って開いた
携帯には13:17の文字。
「莢花!戻ろう!やばい!!」
僕はそう言ってまだ
寝起きの莢花を教室へと
引っ張って行った。
奇跡的なことに
まだ昼休みだった。
「何事もなかったようにいろよ?」
僕はそう言って
人だかりの多い
教室の前で
誰にも見られないように
莢花にキスをした。
莢花の顔は
真っ赤になっていて
とてもかわいらしかった。
「うんっ」
そう言って莢花は
教室へ入って行った。
僕も教室へ戻ろうとして
振り向いた瞬間だった―
「どこいたの?」
愁悟は目を丸くさせて
僕を見てきた。
「莢花と話してた」
「莢花?」
愁悟の目は怒りで
満ち溢れているようだった。
「何?」
「呼び捨て?」
「お前に関係ないだろ」
そう言って僕は
教室へと入って行った。