愛すべき君へ


僕は泣き止んで、
莢花から離れた。

「ごめん莢花...」
「謝らないで」

そう言って莢花は
笑った。

「いつかわかるはずだから」

僕はそう言い残して
莢花の前から去った。

莢花の前では
泣きたくなかったのに...

僕は莢花から
離れた後に
また泣いた。

僕がいるところからは
莢花が見えた。

声も聞こえた。
だから僕は声を
殺して泣いたんだ。


< 27 / 54 >

この作品をシェア

pagetop