愛すべき君へ
コツコツコツ...
鳴り響く足音。
僕は足音だけで
愁悟とわかった。
「莢花...?」
愁悟はそう言って
莢花に近寄った。
「愁悟くん...」
泣き崩れる莢花を見て
愁悟は哀れそうにしていた。
「大丈夫?」
「うん...」
愁悟はひたすら
莢花の頭を撫でていた。
「ごめんね愁悟くん...」
「謝らないでいいよ」
そう優しく語りかける愁悟。
今僕が愁悟だったら...
莢花にキスをしているだろう。
「俺にしろよ」
「...え?」
「莢花が傷つくのなんて
黙って見てられない。
莢花をフるなんて
男として最低だよ。」
僕は悔しくて悔しくて
たまらなかった。
あんな男に莢花を
渡したくなんてない。
「莢花っ...!」
愁悟はそう言って
莢花を抱きしめた。
「俺にしろよ...
俺なら絶対に幸せにする」
莢花はうんって
黙ってうなずいた。