愛すべき君へ


「叶くん!」

声のする方を向くと
そこには、
そらがいた。

「そら...」
「昨日メールしたんだよ?」

そらはぐずって
言い出した。

昨日はショックで
ずっと泣いていた。
携帯なんて見る暇さえも
なかった。

「ああ...ごめん」

僕はそっけない
態度で返した。

するとそらは
うつむいていた。
それはまるで
小さい子供が
何かをねだっているような光景。

「今日メールするから、な?」

そう言って僕は
そらの頭をポンッと叩いた。

「本当!?」

そらは満面の笑みで
僕に問いかけてきた。

「うん」

そらはなぜこんなにも
純粋なのだろう。
こんな汚れた僕さえ
好んでくれる―

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