あなたがいてくれた‐いじめ‐

休み時間、川瀬に呼び出された。

もちろんトイレである。

「さっきは素晴らしかったね。」

パン、パンとトイレに響いた。

今回は取り巻きたちはいなかった。

「優衣ちゃんは心あるのかな?」

タイルの壁にもたれて続けた。

「蹴っても殴っても泣かないし、
今まで一度も不平不満を言わない。」


暴力振るわれる度に泣いてたら、

体の水分がなくなってしまう。

考えてんだよこっちは。

「優衣ちゃんは醜いよね。気持ち悪いよね。うざったいよね。」

川瀬の満足そうな笑みは、

みるみるおぞましいモノと変わった。


「なんか言えよ。お前は人間じゃないって言ってんだよ。
死ねって言ってんだよ。
必要ないんだよ、お前みたいな人間!!!」

ヒステリックに叫んだ。

それでも何も言わない私に「クズ」と言って去って行った。

ゴミ箱が蹴られる音がした。



自分が必要な人間ではないと言うことは、

この世で一番私が知ってんだよ。






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