あなたがいてくれた‐いじめ‐






私は、優衣を支えながら教室でのことを思い出していた。



「初めまして。小柴 利世です。皆とは早く仲良くなりたいです。
よろしくお願いします。」

前の学校と同じように、明るく言った。

でも前の学校と同じにならないようにと、怯えていた。

利世は、人懐っこそうで可愛い外見、美声で好印象を与えた。

前は目を吊り上げ、冷たい声で、最低なことをしたから。

やり直すために、転校したの。

それを忘れてはいけない。


席に着くと、隣の女子が話しかけてきた。

「よろしくー!私、川瀬メイっての!仲良くしてね。」

なんとなく・・・こいつはこのクラスのリーダー的存在のように思えた。

長い金色の髪、赤く塗られた爪に、真っ黒なアイラインを引いた目。

「よろしく」

警戒しながら、小さく頭を下げた。

「あはは、そんな警戒しないでよ!」

下品な笑い方をする奴だった。



「・・・佐伯優衣って、いじめられてるの?」










< 24 / 99 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop