あなたがいてくれた‐いじめ‐





シンッ


一斉に、人の声が聞こえなくなった。

喋っていた先生も目を見開いて黙り込んだ。



「いじめられてるの?」

もう一度言った。

誰も喋ろうとはしない。

ああ、この空気知ってる。

前の学校の、私のクラスで当たり前だった空気。

今思うと、吐き気がするクラスだった。


教室を目で見回していると、

マジックで大きく『死ね』と書かれた机を見つけた。

絶対、優衣のものだと思った。

「このクラスなんですか!」

先生を真っ直ぐ見つめた。

ビクッと体を飛び上がらせた。

その姿が吐き気がするぐらい醜かった。


利世はもう何も言わなかった。

沈黙を破ったのはHR終了のチャイムだった。

目が覚めたように、先生が喋りだした。


「今日、小柴さんに学校案内をしてくれる人・・・いませんか。」

先生は完璧、優衣の事を無視して生徒を見回した。

すると、隣の川瀬メイが右手を上げた。

「川瀬さん・・・。じゃあ、お願いね。」

先生は顔を真っ青にして出て行った。


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