あなたがいてくれた‐いじめ‐
母親は、一年に一回帰るか帰らないかわからない位
男と遊んで暮らしていた。
一度子供の頃に見たことがある。
母親が半年振りに帰ってきた、と
喜んだ子どもの私は母親のいる部屋に向かった。
母親の部屋は、八畳の畳の部屋だった。
私はふすまをそっと開け、母親に抱きつこうと一歩足を踏み入れた。
けれど、そこにいたのは母親ではなく、知らない男だった。
男は裸で、いつも母親が寝る布団に包まっていた。
何をしているの?と叫びそうになったが、とっさに息を殺した。
しばらくすると、遅くなってごめんなさい、と母親が出てきた。
母親も裸だったので目を見張ったのを覚えている。
その後のことは・・・覚えていない。
見ていないのか、見たけれど『見ていない』と自己暗示をかけたのか。
今までに何度もあったが、全く覚えていない。
ただ、毎回男といることと、いつも違う男ということだけしか覚えていない。