あなたがいてくれた‐いじめ‐
私は小さな街灯のついた公園に着いた。
気がつかぬ間に走っていたようだった。
息が荒れていた。
呼吸を整えるために、ブランコに座った。
ここはよく子どもの頃に遊びに来たな・・・。
寒さのせいで頭がおかしくなったのだろうか。
目を閉じると、幼き記憶が現れた。
『優衣ちゃん、帰ろうね。』
両親が仲良かった頃、よく私は公園のブランコで遊んでいた。
夕方になると、いつも母親が迎えに来てくれた。
家までの道を手をつないで帰った。
いつも、母親の左手は温かかった。
その温かささえ、今では偽善に思える。
気がつくと、当たりは闇だった。
街灯の光がやっとのことで、夜道を照らしていた。
空は星が散らばっていた。
―――帰らなきゃ。
ブランコから立ち上がろうとすると、肩を叩かれた。
心臓が飛び跳ねた。
「すみません」
低くかすれた声だった。