あなたがいてくれた‐いじめ‐
「優衣、ごめんね。」

朝、来るなり利世が駆け寄ってきた。

「…もういいよ。」

今日は気分が楽だった。

もう、お金は渡さなくていいと聞いたからだ。

どうして、昨日『もっとキツくなる。』の様な事を言ったのに。


「優衣、聞きたいことがある。」

利世が真顔になって言ってきた。

「何?」

「誰にいじめられてるの。」

「何でそんな事聞くの。」

冷たく言った。

「…川瀬さん?」

返事はしなかった。

それで、答えは分かるだろう。

「……昨日の傷、やったのも川瀬さん?」

「違う…。」

真剣に聞いてくるから、ついつい目を逸らしてしまう。

周りの奴に聞かれていたらどうしよう、と思ってしまう。

私の気持ちに気付いたのか、

「場所変えよう。」

と、利世が言った。




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