あなたがいてくれた‐いじめ‐
私は、利世を雪夫さんのところに案内した。

そこには、雪夫さんの姿は見られなかった。

「何処いったんだろう…。」

私が不安そうにいうと、利世は私の肩に手を置いて、

「何処かに出かけてるんだよ。待ってよう?」

と、優しく言った。

「うん。」

その声で、私は心が落ち着いた。


7時。

秋なので、もう辺りは真っ暗になっていた。

唯一の明かりは、月。

息を吐くと、白くなる。

「雪夫さん…遅いね。」

利世が震えた声で言った。

「…うん。雪夫さん…何してるんだろう。」


利世と別れて、30分経った。

私は、まだ公園に居続けた。

雪夫さんは帰ってくる。

どうして私は雪夫さんに会いたかったのだろう。


ガサッ


後ろで音がした。

振り返ろうとしたとき、

「ゆーいちゃん。」

と、どこからか声がした。

辺りを見回していたら、急に石かなんかで頭を殴られた。



意識が遠のく。


月は見ていた。





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