あなたがいてくれた‐いじめ‐
「よぉ、佐伯。ちょっとおいで。」
川瀬は、手招きをして私をトイレに連れ込んだ。
定番のいじめ場所なのだ。
学校の生徒は、この時間帯には
ここのトイレは使わない。
ここで行われることを知っているから。
ということは、
全校でいじめは行われていると言うことになる。
すごいレベレだ。
と心で笑う自分に寒気がした。
トイレに入ると、川瀬に金を出せと要求された。
もちろんのことあるわけがない。
毎日持ってきてないでしょう。
そう主張すると、思いっきり左頬をぶたれた。
その衝撃で、個室の壁に頭をぶつけよろめく。
痛さを通り越して、何も感じなかった。
「こうなるって分かって持ってこないんだもんね。」
一人の女が言った。
「こいついい加減気持ち悪いんだけど。」
「だよねー・・・。まさかM?」
「ははっ!マジかよ」
川瀬は何も言わずただ私を睨んでいた。
別に怖くなんか無かった。
いじめは慣れよ。
一生懸命、冷静な不利をした。