あなたがいてくれた‐いじめ‐
怖くなんかなかった。

逃げようとも思わなかった。

気持ち悪くなんかなかったし、むしろ・・・抱きしめてあげたい。

貴方の気持ちを知ってあげたい。


ただ、それだけだった。


「雪夫さん・・・どうして!?」

そこには、体を縄で縛られ、頭から血を流している雪夫さんの姿があった。

血は黒く、固まってきている。

時間が経っている証拠だ。


「・・・優衣ちゃん・・・私達、家族はここで暮らしていたんだ。」

雪夫さんが口を開いた。

暮らしていた?

「元から、借金があって、タダで川瀬社長からここを借りた。」

雪夫さんの血は、一向に止まる気配がなかった。

「ここは、元々は社長のお嬢さんの秘密の部屋かなんかで、僕は彼女の秘密を知ってしまった・・。」

川瀬の・・・秘密・・・・?


「そのことで怒って、知ってしまった僕じゃなくて僕の家族を殺したんだ。絶望を味あわせてやる」

雪夫さんは一息ついて、また話し出した。

「全て・・・事故に見せかけて・・・・・。」

そう話した雪夫さんの目には涙があった。

「どうして、ここで、雪夫さんがこんな事に・・・・。」

「昨日の夜、ここにお嬢さんとそのお兄さんが来てね、私をそこにある花瓶で殴ったんだ。・・・お兄さんの方が。」

川瀬と・・・ケイタが・・・。

私は、花瓶を目で探した。

花瓶は、地面に転がっていて、血がついている。

「優衣ちゃんは・・・どうしてここに?」




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