あなたがいてくれた‐いじめ‐
川瀬は、山道をどんどん突き進んでいった。

どこか遠くに連れて行かれるのかと思ったが、川瀬の後姿はそんな風に思わせなかった。

「川瀬さん、優衣は元気なの?」

わざと優しい口調で言った。

怒ってないかのように。

「・・・分からない。でも、もう1人の方は・・・・・・。」

『もう1人』?

他に誰かいるってこと?

何故?

その事を聞こうとしたとき、

「着いた。鍵、渡しておく。」

と、川瀬が言った。

もう、要点しか言わなくなっている。

明日の仕打ちは酷い事をしてくるのは、承知のうえだ。

私は、鍵を受け取り倉庫に向かった。

「優衣!?大丈夫!?」

大声で、倉庫に向かって言った。

「優衣!!!!!」

さっきより、もっと大きな声で叫んだ。

私が口にした言葉よりも、ずっと弱々しい声が聞こえてきた。





「利・・・・・・・・世・・・。」











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