あなたがいてくれた‐いじめ‐
「佐伯優衣、小柴利世。あなた達は、大きな罪を犯しました。よって、髪切りの刑!!」

川瀬達は、くすくす笑いながらはさみを取り出した。

雪夫さんの携帯にはるはずのメールは無く、誰かが削除していた。

川瀬が犯人のはずなのに、証言があるのに、証拠が無いから警察は動かない。

だから、いじめは酷くなる。

お馴染みのトイレ。

私だけじゃなく、利世まで。

川瀬は何も反省している様子もなく、じっとこちらを睨み付けていた。

「あーあ・・・。なんで私が犯人扱いされなきゃいけないんでしょう。」

嫌味っぽく川瀬は言った。

利世はずっと前を見つけていて、何も言わない。

私はたまに利世をチラ見して俯く。

「佐伯はさー髪長いからまだ沢山切れるけどー・・・小柴、沢山切れないよね。」

クスリと笑って、はさみを持ち直した。

「土下座したら許してあげるよ。しっかり手を付いてするんだよ。」

はさみの先端を利世の頬に付けた。

利世はびくとも動かない。


『髪を切らせるの?』

そう言いたかったけど、怖くて口を開くことも出来なかった。


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